「はい、お姉ちゃん。アンティークドールだよ」
「……ありがとう、パパ」

 そう言ってパパはお姉ちゃんに赤いドレスを着たお人形を渡す。

「最後になったな。今度の10歳の誕生日パーティーに着るといい」

 パパは私に薔薇のデザインをした真っ赤なドレスを私にくれた。

「わあ、ありがとうパパ! あれ? お姉ちゃんのドレスは?」
「私はいいわ。他に気に入っている服があるから、それでパーティーに出るわ」
「そう? ふふ、次の誕生日パーティーが楽しみ♪」

 私はドレスを持ったままクルクル回って思いを馳せた。
 そんな楽しい暮らしを過ごして私が17歳になった頃、ママが病気で亡くなった。