そうか。アレは電柱の側に居たのではなく、私の左目に居たのか。
 私がそう理解した途端、今まで揺れていたアレがピタリと止まり、首だけこちらに振り向いた。
 まるでその通りだと言わんばかりに目とも口ともつかない切れ目のようなものが、弧を描いてニタリと笑っているように感じた。

 終わり