天然お嬢と双子の番犬さん


「…なんや」


見過ぎたらしい。
睨まれた。


「その…優しいお兄さんだなぁって!」


嘘じゃない。優しく微笑んで頭を撫でていて、素敵なお兄さんだなぁって思った。



「…見せものちゃう」



さらり。

小さな風が吹き、長い前髪が靡く。うっすらと見えたその痛々しい痕に釘付けになってしまった。


…火傷、



「見せものちゃう言うたやろ」



ハッとして見ると不服そうな顔をしていた。



「ご、ごめんね」



そうだよね。

古傷って見せたくないよね?
凝視し過ぎて嫌だったよね?


春比古くんが大きな溜息を吐いた。
私の方を向いて舌打ちをする。


「そないに見たいなら見したる」


耳にかける長い髪。そして、露になる痛々しい火傷の痕。額から瞼にかけて出来ていて、赤色寄りの茶色い膨れた痕だった。