天然お嬢と双子の番犬さん



詩歌ちゃんのお兄さん、春比古くんは今年で17歳。


「花…やったか。いや、呼び捨てはあかんな」

「え!なんで!いいよ!花で!」


同い年だし!


「…右京組はあんたんとこの下や。五十嵐組のお陰でこの地位におるみたいなもんや」

「そうなんだ!でも私には関係ないから、呼び捨てでいいよ!」

「……せやったら、俺も名前でええ」

「分かった!春比古くんでいいかな?」


春比古くんは頷いた。

そこからは、私と詩歌ちゃんがひたすら喋り尽くしていたんだけど。春比古くんはただそれを見ているだけで話しには参加してこなかった。


暫く話していたら、詩歌ちゃんが目を擦る。欠伸も出ててかなり眠そう。



「詩歌、帰る時起こすさかい寝とき」



自分の膝に頭を乗せるよう言った春比古くんに、詩歌ちゃんは頷いて横になった。すぐに寝息が聞こえてくる。


よっぽど眠かったみたい。



だけどどうしよう、会話が全くない。
何か言おうと思ったけど、「話しかけるな」ってオーラが合って中々話しかけづらい。

…今隠してるあの前髪の先に、火傷の痕があるのかな。