天然お嬢と双子の番犬さん



詩歌ちゃんと沢山お話をした。

幼稚園での事とか、好きな物とか色々…。
そして教えてくれた、自分の家族の事を。


『おにいが火傷したんはうちのせいなん』

「火傷?」


右の額と瞼近くをなぞり、ここに火傷痕があると言った。それが凄く大きくて怖かったから、その時に付き合っていた彼女さんは逃げるようにして居なくなってしまったらしい。


…火傷。そんなに酷い状態なのかな?


ジャリ、
庭の砂利を踏む音だった。


私が顔を上げると、釣られて詩歌ちゃんも上げた。黒髪の人を見て笑顔になる。


「あにぃ~!」


大きな声を上げて、その彼に駆け寄った。

黒い髪に赤色のメッシュを入れた男の人で、右側だけ長い前髪で右目は見えなかった。


…この人が詩歌ちゃんのお兄さん?


私と同い年くらいの人だった。
視線に気づいた彼がこっちを見る。



「…あんた、五十嵐組のお嬢さんか?」



京都訛りだ。



「あっ、うん!いや、はい!五十嵐花です!」

「そか…俺は右京 春比古(ハルヒコ)、右京組のせがれや」