えっと。
入学したのが四月で。今は五月後半で六月入る前。
指折り数える。
両手で。
「12回…かな?でもまだ少ない方!」
「十分多いっつの」
そうなの!?小学生の頃より10回も少ないけど!
「本当は迎えに行くべきだけど…」
「やだよ。折角友達出来たのに」
中学の頃も同じような事が沢山あって。後半頃にリムジンで迎えに来てもらったけど。…まあ、リムジンだし。運転手怖いし。小指無い人がドア開けてくれるわで、極道の娘だとバレた。
次の日から皆怯えて、先生も変に頭下げてくるし、友達とも距離を取るようになって。結局最後の方は独りぼっちだった。
あんな思いはしたくないからね。高校生になったら絶対頼まないって決めていた。
「俺等だって暇じゃねぇんだよ。毎回探す身にもなってみろ」
「でも、必ず助けてくれるでしょ?」
毎回私を助けてくれるのは、和と湊。
「和と湊が絶対来てくれるって分かってるから、全然怖くないんだ。二人ならどこに居ても見つけてくれるって信じてるから」
連れ去られても、正直怖くない。絶対、必ず来てくれるって分かってるから。
「いつもありがと。大好き!」
満面の笑みで言った。
二人は吃驚顔。
段々と赤く染まる。
「不意打ちはズルいって…」
「……クソッ、」
なんだ?なんだ?小さすぎて声が聞こえないぞ!
「言いたいことがあるなら大きな声で!さん!ハイ!」
「「黙ってろ」」
ええ!?なんで!?
ちょっと怒ってるのなんで!?


