***
夜、時刻は十時過ぎ。
縁側に二人の影が映る。
──────和と湊だ。
湊の隣にある灰皿には沢山の煙草の吸殻。吸っていた煙草を押し付け、新しい煙草を咥える。
隣では膝の上で頬杖を付く和がいた。
ぼーっと、庭の景色を眺めている。
「お嬢に悪戯したい」
「…は、」
突然の和の宣言に、湊の気の抜けた声が出る。
……しばし、沈黙。
「お嬢に悪戯したい!」
「聞こえてっから、無視してんだろうが」
二度目の宣言に思わず返事をしてしまった湊。
「え、湊はしたくないの?大丈夫か?」
「俺の台詞だろ、絶対」
真顔の問いに真顔で返事。溜息をついた和に湊は隣で煙草の煙を吐く。
「純粋無垢代表って感じするじゃんお嬢って」
「……うるせぇな」
「あ、否定しないって事は湊も思ってたってことか」
ケラケラ笑う和に湊の眉間のしわが増えた。
風が吹く。
夜風に揺れて緑の葉が舞い散る。
笑っていたはずの和が真顔に。
見ているのは、雲に隠れそうな満月。
夜、時刻は十時過ぎ。
縁側に二人の影が映る。
──────和と湊だ。
湊の隣にある灰皿には沢山の煙草の吸殻。吸っていた煙草を押し付け、新しい煙草を咥える。
隣では膝の上で頬杖を付く和がいた。
ぼーっと、庭の景色を眺めている。
「お嬢に悪戯したい」
「…は、」
突然の和の宣言に、湊の気の抜けた声が出る。
……しばし、沈黙。
「お嬢に悪戯したい!」
「聞こえてっから、無視してんだろうが」
二度目の宣言に思わず返事をしてしまった湊。
「え、湊はしたくないの?大丈夫か?」
「俺の台詞だろ、絶対」
真顔の問いに真顔で返事。溜息をついた和に湊は隣で煙草の煙を吐く。
「純粋無垢代表って感じするじゃんお嬢って」
「……うるせぇな」
「あ、否定しないって事は湊も思ってたってことか」
ケラケラ笑う和に湊の眉間のしわが増えた。
風が吹く。
夜風に揺れて緑の葉が舞い散る。
笑っていたはずの和が真顔に。
見ているのは、雲に隠れそうな満月。


