外で大きな声がした。
二階の窓から覗くと、皆がパパに頭を下げていた。
また何かお仕事かな。
…って事は、和と湊も忙しくなるのかぁ。
学校一緒に通えるの、今日で最後かも。元々本職はこっちだしね。
結構楽しかったけど。
仕方ないかぁ。
制服から水色の浴衣に着替え、部屋を出た。
この間パパが買ってきてくれた浴衣。部屋着はいつも浴衣で、沢山ある中から一つ選んで着ていた。
「お嬢、待って」
振り返ると、浴衣姿の和がいた。
カーキ色の浴衣がよく似合っている。
眼鏡も似合ってたけど、やっぱり素顔が見える方が嬉しい。
あ…、髪にあと付いちゃってる。
左側にピン付けてたから、はねてるんだ。
ふふ、変なの~。
「ん?なんか変?」
「秘密~!」
いつも通りかっこいいけど。
たまにはそう言う抜けてる感じもあった方いいよね。だから言わないでおくの。
それでも。
「和は全部かっこいいよ」
これだけは知っておいてね。
「っっ……、お嬢もかわいいよ、」
手を掴まれ、指が絡む。
ぎゅっと強く握った後で離れていく手。
なんだか少し名残惜しそうな感じだった。


