部屋の中で深く、深く落ち込んでいた。
……時間が全然進んでくれない。
まだ夜ごはんまで二時間、お風呂に入るまで合計五時間ほど。こんなに時間の進みって遅かっただろうか?
リンはリヒトさんにべったりだし…鞠はバイトだから連絡つかないし…テレビは飽きちゃったし…。今までどうやって過ごしてたんだっけ!?
……そうだ。和と湊が傍に居てくれたんだ。
美味しいおやつを食べて、お話して…。
二人がいないとつまんないよ。
「花さん」
「にゃー!!?」
背後からの声に吃驚し飛び跳ねた。
「フッ…すみません」
「い…いつの間に…!?」
襖を開ける音も全くしなかったのに!どうやって入ってきたの!?リヒトさんは…!
サングラスを外したリヒトさんは、私の隣に腰を下ろした。
「お願いがありまして」
お願い?…あのリヒトさんが?
浮かぶのは私を毛嫌いし突き落そうとしていた姿…。
………思い出しただけで恐怖が。
「女性克服のために、花さんに触れさせて頂けませんか?」
────────えっ、
「克服って…怖いならそれでも問題ないと思うけど…」
無理する方が危ない気がするけど。
「学校でも花さんを守れるようにする為に必要な事ですから」
びくっ、
それって……、
「構いませんね?」
もしリヒトさんが克服したら和と湊の傍に居られなくなるって事?


