打撲が完全に治っているわけでもなく。
「打撲が回復するまで…いや、当分和と湊は今まで通り学校に通え」
そんな言葉がパパの口から出てきた。
嬉しい月曜日の始まりだった。
「仕方なくだからな?勘違いすんなよお前等!」
指差す相手は制服姿の和と湊。
その次にリヒトさんの方を指差した。
「元はと言えば!お前が学校に行けてればなぁ!」
「…はぁ、本業もやる事が条件でしたの忘れましたか?それに…私が女嫌いな事知っていますよね?」
「むぐぐぐぐ…」
やり取りを見ていると本当に酒井先生みたいだ。
「花さん、」
「え?あ、はい!」
「何かあればこれを押してください」
渡されたのは、丸ロケット型のペンダント。
開くと中にボタンみたいな物が付いてる。
「GPSが入っていますので常に身に着けていてください」
へぇ、初めて見た。
……でも、
「和と湊はこんなの無くてもすぐ来れたよ?」
「……お嬢の言う通りだね」
「……確かに。俺等は使ってねぇな」
直ぐ奪われたペンダントは、目の前で握りつぶされた。
………えっ。
「不良品だった事忘れていました」
「そうなの?それなら今度新しいの貰うね!」
「いえ。今ので最後の在庫でした」
ええ!それじゃあもう付けられないじゃんっ!


