口元を抑えた。泣いてる声を我慢したかったから。



「う゛…うぅ、ッ」



息が苦しい。
胸が痛い。


喉が…、




「お嬢」





頭に乗る大きな手の平。




「俺は傍に居てあげられる。
何が合っても守ってあげられる」




…る、か。





「───嗚呼、でも

”いい子”になるって言うならの話だけど」





髪の束を取り、そこにキスを落とした留華。


少しだけ笑っているように見えたのはきっと気のせい。何か、体内に毒が巡るような感覚になったのも…気のせい。



……いい子、に。




「守れるのは俺だけだよ。

それとも…今度は”誰も助けに来てくれない”誘拐でもされたいのかな?」