もうほとんどの生徒がいない。部活だったり委員会だったりで、教室には私と湊と後話をしてるグループだけだった。女子グループが購買部に行こうと話をしてた。出て行った女子の声が離れてく。
窓の外、野球部の声がここまで聞こえてくる。
唇に飴が触れた。
一瞬…ほんの一瞬だったけど、湊の顔が近かった。
唇に残る甘い味と飴越しにされたキス。
「…なんで?」
「チッ、」
変なの!しかも結局くれないんかい!急に不機嫌だし!
仕方ない。この飴は私が食べるかぁ。
包み紙を外して口を開けた時。手首を引っ張られ、湊の口の中へ。
「あああ!私の飴!!」
「は?俺のだろ」
しかも噛んでるー!
飴噛むタイプなんだねー!
ガリガリ…、
棒だけ返された。二本。
…ゴミだけ渡すとか酷くない?
「こらー!私の飴返せ!」
「腹に入った。戻せねぇ」
「それは仕方ないね!代わりに新作のフラペチーノ買って!」
「…値段に差があり過ぎだろうが」
「それなら僕もお願いね。湊」
先生に呼び出しされてた和が戻ってきた。


