天然お嬢と双子の番犬さん




背を向け横になったリヒトさん。私も同じく背を向けてベッドの下に座った。リンが私の所にやってきて、膝の上で寝転ぶ。


「………私の、母は千夏さんに…嫉妬していました」


じゃれ合う私達の後ろ。
リヒトさんが小さな声で話し始めた。


「母は…とても美しい人でした。外見だけは。性格は本当に最悪で、そうですね…クズと言うのが正しいですかね」


自分の母親にクズって言ってるんだけど…いいのかな。

リンの喉元を撫でながら心の中で思ってしまった。



「プライドが高く、人を見下し生きてきた母は…千夏さんに会って酷く落胆したようです。

…外見も中身も全てが完璧で。”綺麗”だと言う言葉が最も合う人間だったから。

自分の全てを否定された気にでもなったんでしょう。だからこそ、千夏さんの傍にいた…父を…酒井秋季を自分の物にしようとしたそうです。

…思惑通りか、なんなのか。
結論父は母と結婚しました。


母は”あの女に勝った”と思ったそうです。一番大切な男を取ったと…しかし、実際は。

──────千夏さんと酒井秋季は、本当にただの幼馴染。


奪っても意味のない…そう気が付いたのは、私が母のお腹にいる時だったそうです」