廊下に顔だけを出しキョロキョロ。念の為上も確認。人の気配も足音も無し。
「本当にリヒトさんいなくなっちゃった」
終わったよーって言いたかったけれど。いないなら仕方ない。だから……出ようとするのも、仕方ないっ!
「───────などと考えている訳ではありませんよね?」
「か、考えてました。ごめんなさい」
「素直なのは評価しましょう」
一歩踏みだす前にシルエット。見下ろすリヒトさんを見上げ汗ダラー。
物音ひとつせず、リヒトさんはそこにいた。
「…音なんて一切しなかったのに、」
「すみません。仕事上音を立てれないので」
…仕事?
「別で仕事してるの?リヒトさんも極道の人じゃないの?」
「知らない方が身のためです」
……またそうやって距離を取る言い方を。
「そんな事より…、」
身体を押され、部屋に戻された。
「何故貴女は私に従えないのですか?そんなにも怪我をしたいと言うのなら、その通りにして差し上げましょうか?」
そんなの…、
「痛そうだし嫌だよ…」
「そうですね。骨が折れれば打撲よりも痛いでしょう」
デ、デスヨネ…?
「そう思っているのに何故、逃げ出そうとするのです?」


