「おや…大分治って来ていますね」
「え?本当ですか?」
酒井先生が驚き、言った。
「可笑しいですね。もっとかかるはず……、」
そこまで言うと、何か納得したように頷いた。
「足、全然使ってなかったでしょう?」
「そんな事は……、」
浮かぶ情景。和と湊、パパ、そしてリヒトさんから抱えられる自分。
「……そうみたいでした」
「それなら納得です。全く足を動かしてないなら治りは早いですからね。勿論若さもありますが」
先生は片付けをしながら、思いつめたように言葉を漏らす。
「……リヒトは…花ちゃんに迷惑を掛けていませんか?」
え?リヒトさん?
「大丈夫です」
「目が泳ぎ過ぎです。嘘丸わかりですね」
うっ…隠し切れなかった。
「気になるならリヒトさんに会ってみたらどうですか?」
何故か診察時間になるとパタリと消えた気配。ずっと監視されているような感じだったのに、突然姿を消したのだ。
「………いえ。結構です」
酒井先生はリヒトさんと同じ、無表情のまま部屋を出て行った。


