天然お嬢と双子の番犬さん



「………和!大丈夫だから降ろして!」

「駄目だよ。足に響いちゃうよ?」

「じっとしてろ」


そうだけど!


視線が刺さる。それも頬を赤らめる生徒と先生達から。

今日ぐらい休みでいいのに、なんていう連休明けの金曜日。通常通りの学校生活が始まった。

勿論、私の足が一日で治る事は無かった。
だから今私は………、


和と湊に交代で抱えられるという状態になっていた。
生徒も先生も全員が顔を赤らめ私達の方を向き黄色い声を出す。


「もうっ!いい加減に、」


耐えられなくなって声を荒げると、二人は同時に「ん?」と言った。

どうしてかな。二人が……いつも以上にキラキラして見えるのは。


「和と湊の…いじわるぅ……」


真っ赤になった顔を隠すように両手で覆って俯いた。


「……っ、そういうの、良くないよ……」

「ば……か…な事、言うんじゃねぇ……」


そんな事を言った私に、二人は小さく呟いていた。


教室に入ってすぐ、鞠に向かって手を広げた。半べそ状態の私を見た鞠は二人に向かい威嚇攻撃。

苦笑いの和と溜息を吐く湊。鞠に腹パンを受けながらも、和は私を席に座らせてくれた。


「大丈夫?花?」

「うん…でも、」


ここまでの道のりを思い出す。
恥ずかしかったけど…、


「和と湊じゃなきゃ安心出来なかったかも…」


ゴンッ!


同時に頭を机に強打した。吃驚する私と鞠を余所に、二人はそのままフリーズ。


「……あ゛~…可愛い…」

「………クソ……」


……?
なんかボソボソ言ってる?


「馬鹿なのかしら?ある程度の耐性付けないと、寿命縮むわよ」

「体制?…態勢???」

「花は知らなくていい事よ」


鞠は和と湊を見ながら大きな溜息を吐いた。