和と湊が私達の前に出る。
一歩、後退りする先輩。


「誰の物だって?」



湊の言葉に殺気が混ざっていた。隣の和も笑顔だけど黒いオーラを放ってる。

全国トップ若頭。そんな二人から殺気を出されて、一瞬でも怯まない奴はどれほどの鈍感なんだろう。素人でも分かる殺気に鞠がビクリと肩を震わせた。



鞠、怖いの?



「和!湊!ステイ!」



高校に入って初めての友達。学校トップの先輩達に話しかけられるからなのか、他の子は距離を置かれてる感。だから唯一の友達と言っても過言ではない。


私の友人を怖がらせたら怒るぞ!


殺気が消えた。



「俺等は犬じゃねぇぞ」

「間違いじゃ無いはず!」

「…否めない」



乾いた笑いの和と溜息ばかり出る湊。
その前で先輩は更に顔を歪めた。


「和…と湊…?」


二人の名前を言った後、口を覆った。
言ってはいけない、そんな風に。



「………気のせい…だよな…」



それだけ言って、食堂から出て行った。