***



廊下で一人、小さく溜息を吐いたのは留華だった。



「……俺と居たいって言ったのは、お嬢だろ、」



苛立ち口調の独り言。
頭を掻いてから、振り返った。


どうやら花を探しに行くらしい。



しかし止まる。




それは──、




「にゃお、」

「…あ?」




目の前で顔を洗うサバトラが居たからだ。

留華は目を見開く。
リンはそんな留華に威嚇のポーズ。



だが、相手はマフィアのボス。
相手が悪かった。



威嚇さえ返され、ビクッとしたリンは留華を通り過ぎ、戸をガリガリし始めた。



その動きは…、
花がこの部屋にいるという意味───。





***