心臓がバクバクしていた。破裂するかのようなそんな音がずっと鳴っている。



「どうなんだ?あ゛?言ってみろよ」



…痛い。
掴まれている所も。

──心も全部。



…私。どうしたら。



湊の舌打ちが響く。
触れる手に優しさは無い。



さらり、



耳に掛けられた髪。
その動作にもビクリとしてしまう。


湊に向かって上げられた顎。
私はぎゅっと目を瞑った。




「───まあいい」




フッと鼻で笑う音がして目を恐る恐る開ける。


…笑ってる。
だけど、笑顔じゃない。

ただ唇を緩めただけ。
目の奥は一つも笑っていない。





「お嬢が誰を想っていようがいないが関係ねぇ。


最後は俺に向かせればいい。
監禁でも何でもしてやる。


お嬢は俺を憎み続ければいい…、

俺は一生───、




お嬢をアイ(・・)してやる、」





そう言って顔を近付けた。


身動きが取れないまま、
私はまた───、




唇を重ねた。