唇を包み抑えた。
両手でしっかりと。



…っ、煙草の味?



煙草を吸った事は一度も無い。
だけど…どうしてだろうか?



前に一度…、
何処かで──…、





「───は?」





無理矢理。
乱暴に掴まれた。


口を覆っていた両手は剥ぎ取られ、頭上の上で抑えつけられた。さっきよりも強い力で。



「俺とはしたくねぇって事か?」

「痛ッ…!」



手首。それと肩が痛い。


無理矢理上げられたからなのか、どうか分からない。ただ昨日、留華に噛まれて血が出た所がジンジンしてる。




「不知火なら拒絶しねぇのか?俺以外なら受け入れんのか?」




顎を上げられ目が合う。




「言ってみろよ。その小させぇ口で。

俺以外の名前出してみろ。
ソイツを殺してやるから。

──お嬢の目の前で」