天然お嬢と双子の番犬さん



「…っ、花!!」

「ま…まり」



和に抱きかかえられながら戻って来た川辺。正面には般若と化した鞠の姿。


「ご、ごめんね!えっと…滑っちゃったみたいで!えっと…えと…」


どうしよう!?どう言えば鞠を宥められ…!



ポタリ、



「……鞠?」



大きな雫が落ちていく音。
泣き声を抑えようとする声。


「…っ、どれだけ…心配したと、思ってるのよ…!」


泣いてくれてる──────、私の為に。


和に支えられながらその場に降りる。鞠に向かって大きく手を広げ抱きしめた。


「ごめんね…鞠。心配かけて」

「っ、別に…!花ならすぐ戻ってくると思ってたわ!」

「ツンデレ鞠も可愛いね!」

「話を誤魔化さすんじゃないわよ!」

「……ゴメンナサイ…」


…調子に乗り過ぎちゃった。


腫れた足首を石に座り、冷たい川で冷やしていた。鞠はその付き添いだ。


「あの二人……、」


指差した方には和と湊が肉を焼いてる姿。


「直ぐに花の所に向かったわ。あたし達が追いきれないぐらいの速度でね」


ええ…やっぱり前世はコンパスか何かだ…。



「それで?上手く仲直り出来たのかしら?」



肉を焼こうとする和を湊が止めている。それでも無理矢理やろうとするから、口喧嘩がスタート。

そんな二人を見て、くすっと笑ってしまった。
あんなに悩んでたのが嘘みたい。



「うんっ。鞠のお陰だよ」