酒井先生のお陰だね。上手に出来た。
でもあくまでも応急処置。このままにしてれば悪化してしまう。
左足を庇いながら、立ち上がる。
…木が近くにあって良かった。
お陰でゆっくりだけど立つことが出来た。
「ありがと。木くんのお陰で立ち上がれたよ」
そう言ってから、木から木へ伝い歩いた。上には登れないと思っての行動だった。
………だけど。
「っ…行けると思ったのに…」
前に木がない。あるのは坂を登った先と下った後。
…っ、!!
踏み外した足。転んだ膝が擦りむいている。立ち上がるも凄く痛くなってきた。
「頑張れ…頑張れ私…!」
這ってでも帰ってやるんだから…!そうじゃなきゃ…、
和と湊に会えなくなる。
────────ガサッ、
葉っぱを踏む音がした。
山に入る時に見た看板は、熊注意のものだった。鈴はさっき落ちた時に一緒に落としてしまっていた。
考えたくない。だけど…考えてしまう。もしかして、と。
踏む音が近付いてくる。
あっ、と思った時には遅かった。
その音は確かに人間じゃなくて動物で。
「……小熊?」
小さな熊だったから。


