ピンクアッシュと生え際の黒い髪。襟足だけが肩につく長さが特徴的なワックスでビシッと決めた無造作ヘアー。
ボタンを全部外したワイシャツ、中には赤色のTシャツ。腰パンのせいでかなり足が短く見える。
そして実際も背が小さい。
私の頭拳一個分ぐらいの差しかない。
鞠なんて同じぐらいかそれよりも大きいかって所。だから鞠は”チビ”って陰で言ってる。
「はぁ?なんだよ女狐、俺が用あんのは花だけだっての」
「はぁあ!?花はあんたに用なんて無いわよ!」
言い争う二人の下で、落ちたアイスを片付ける。悲し過ぎて涙が出そう。
食べたかったなぁ…。食べ物も無駄にしちゃったし、神様に怒られそう…。ああ、私の愛しいアイスさん…!
片付ける手が二つになった。
湊が布巾で一緒に拭いてくれていた。
「花、怪我はないか?」
「うん。大丈夫…だけど」
被害者はアイスと私の心だね。
「花、僕の食べて?まだ口付けてないから」
「や、やまとぉ…!」
眼鏡を付けているからか、髪を耳に掛けているからかはわからないけど。爽やか過ぎて眩しく感じた。
「テメェらが噂の転校生──────、」
犬飼先輩が固まった。聞こえないけど感じる”マジか”の三文字。


