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竜二は酔いを醒まそうと廊下に出てた。
まだまだ夜はこれから。

右京組の組長は大分酒に強いらしい。

早めに終わらせるつもりだった食事会が、まだ終わらなそうだ。


「先に和を帰して正解だったな」


きっと花の事だ。

またリンを探して、もしくはいつもの縁側でのんびりとしている事だろう。


竜二は携帯の待ち受けを眺めていた。
今でも愛おしい妻、千夏の笑顔。


「なぁ…、本当似てるなぁ。千夏と花は」


笑みが零れる。


───────プルル、


非通知の電話が鳴った。
竜二は迷うことなくそれを取る。



「おお、調子はどうだ?」



電話口の男は無愛想な返事を返した。
時差を考えろ、と言われ竜二は笑いながら謝っている。


「───────考えてくれたか?」


竜二の言葉に男は深く溜息を吐いた。嫌そうな反応である。



『………………私は高くつきますよ』



鼻で笑った竜二はある男を思い浮かべていた。



「そんなとこまで似るなよな」



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