ビクリ、
そう反応したのは春比古くんだった。
「……会いたかった?俺に?」
「?、うん。そうだよ?」
何故か吃驚してる様子。
どうしたんだろ?でも本当の事だし…それに、春比古くんは私の友達───────。
握られていた手が更にぎゅっと強くなる。
…この、顔。
「俺も会いたかったで…毎日花の事、考えとった」
さっきの驚きから一変、笑顔になった。
───────留華のあの顔と似てる。
私が逃げ出そうとした時の、黒い笑顔。
顔を逸らしたが、直ぐに向き直され、身体が包まれた。春比古くんの匂いがする。
「かんにんな。そないな事言うて…会いたかった奴にそないな事言われたら、そら怒るなぁ」
「っ、春比古くん、苦しい…!」
背中に回された手が、春比古くんの腕が、離れる事は無い。押してるのに、離してと話してるのに…力が緩むことも無かった。
「お嬢に何をしてるのか、教えてくれる?」
和の声がしたと思ったら、一瞬で引き剥がされていた。
「……食事会中やなかったか?」
「僕だけ先にお暇したんだ。悪い?」
春比古くんを睨む和に思わず生唾を飲んでいた。
全国一位の若頭の圧に押されているようだった。
「お嬢、親父の部屋まで送るよ」
「あ…うんっ。ばいばい、春比古くん」
「っ…随分過保護なお兄さんやな」
「過保護にもなるだろ。お嬢相手なら」
和はそう言うと私を抱え背を向けた。


