天然お嬢と双子の番犬さん


どうやら幼稚園で毎月行うお泊り会らしく、今日がその月一の日だったらしい。

私に会いたいから「行きたくない」と最後まで駄々をこねたらしいが、最後は母親によって半ば無理矢理連れて行かれてしまった…らしい。


私も詩歌ちゃんにも会いたかったなぁ。でも仕方ないね。


春比古くんは笑い、ネイビーのジャケットに手を入れ封筒を取り出す。どう見ても春比古くんが書いたものではないであろう、美少女戦士柄のピンク系のお手紙だった。

これって…、


「詩歌からや」


やっぱり!


「ありがとう!お返事書くね!」


後で部屋に行って見よっと!確か便箋あったはず!


仕舞う所がないので、とりあえず手に持ってることにした。気付いた春比古くんは軽く謝ると、後で渡すと言ってもう一度懐に戻してくれた。


「嬉しそうやな」


春比古くんの指が頬を触れた。
指の腹で優しく、輪郭をなぞる。


私は笑って、


「うん!でも…本当は詩歌ちゃんと会いたかったなぁ」


と言った。
それを見た春比古くんが渇いた笑いをする。


「俺より詩歌が来たら良かったかもしれへんなぁ」


と、小さく呟いた。


「……なんでそんな事言うの?」


そう言って、眉間にしわを寄せた。そんな私に目を見開いている春比古くん。

何か弁解しようとしている様子だったけど、気にせずそっぽを向いた。眉間のしわは寄ったままだった。



「花、」



正面、隣に座っていたはずの春比古くんが前に移動していた。私の前で屈み、手を握る。


「私は春比古くんにも会いたかったよ。だから…そんな事軽く言わないで?」