今日の夜は光も見えない暗い空だった。曇天。そんな中でも私は縁側に座っていた。
パパは右京組の組長さんとの食事で居ないと言うのだから仕方がない。
勿論、和と湊もその付き合いで。
「こないな時間に何してん?」
突然の声と気配。
身体がビクリと跳ね上げた。慌てて振り返る。
「は、るひこく…ん!?」
微笑む春比古くんがいた。
び…びっくりした…!
吃驚し過ぎて心臓がバクバクしてる。
「驚かせるつもりはなかってんけど…かんにんな」
「ううん!大丈夫!」
まだ心臓はバクバクしてるけど…!
春比古くんはハハッと笑った後で私の隣に腰を下ろす。
「悩み事か?」
頬杖をつく春比古くんが言った。
凄くこっち見てくる。
…あれ?何かついてた?
浴衣は着直したし、出る前にパパの部屋で鏡見たんだけど…見えないところについてた、とか??ご飯粒とかだったらどうしよう!?カピカピは取るの大変なのに!
「花、」
「わぁッ!?」
立ち上がる動作をしてる最中だった、腕を引っ張られ体制が崩れる。
「俺を置いて何処行くん?」
春比古くんの匂いがする。
包み込まれた身体と耳元の声。
「えっと…?ご飯粒付いてるから取りに行こうかなって?」
「ハッ…そんなもん、ついとらんよ」
「え?でもさっき私の方…」
見てたけど…それって何か付いてるって意味じゃないの?


