パパは咳払いをすると、

「花ももう大人だもんなぁ…ムムム、言うかぁ…」

と言って、私を隣に座るよう促した。


小瓶の中から出てきたのはピンク色をしたハート型の錠剤だった。


…え?これって。


「前に花が連れ去られた事件が合っただろ?あの時、このクスリをそのマフィアがばら撒いてたんだ」

「……ルーフスの、あの人が…?」

「ああ。全部回収しきれなくて今でも出回っている状態なんだ。それが他の所にも回っているみたいでな」


パパはだから集会を開いたのだと言った。元々は西園寺組との同盟の為の集会だったが、このクスリが出回った為、注意喚起も込めての事だったらしい。

初めてパパの口から五十嵐組の事について聞いた気がする。
パパはいつもはぐらかすし、私も知らなくていいと思ってたから。


「……パパ、これってどんなクスリなの?」

「えっ。あ…いやぁ、えっと」


目が泳いでいるパパの肩を掴み揺らした。


「お…おお、待ってくれ。パパ酔っちゃう…」

「教えてー!」


分かったと繰り返すパパは小さな声で言った。


「……その……セックスドラックと言ってねぇ……まあ、その…そういうやつだよ…」


………それって、




「どう言う意味?」

「うんっ!パパ、安心!!花はそのまま大人になるんだぞー!!」