パパに懐かないリンは、パパの部屋に入る前に脱走してしまった。


「花、俺は何故動物に嫌われるんだ」

「うーん…?」


昔から犬には吠えられ、ハムスターには噛まれまくり。私はその逆でどちらかと言うと好かれやすい体質らしい。ママそっくりだって、パパが言ってた。


部屋にはママの写真が並んでる。
子供の時から見ているママの写真。

額縁には埃一つもない。パパがどれだけママの事を大事にしているかが分かる。


「ねぇ、パパ…留華はまた帰って来れないの?」


あの後自分の荷物を持って直ぐに出て行った留華。別れの言葉も無しで居なくなってしまった。


「………ごめんな、花。代わりにパパが傍に居るからなぁ」


誤魔化しの台詞だ。三年前もそう言ってたから。

私は話題を変えようとお菓子の事を聞いた。
いつもパパが閉まっている戸棚を調べる。



──────なにこれ?



お菓子の籠の後ろに置いてあったのは茶色の小瓶。


「パパー?これなにー??」

「んー?って!!あああ!!」


手から勢いよく奪われ隠される。


「これはなぁ!パ……パパの薬だ!」

「え!?もしかしてパパ何処か悪いの!」


嘘…そんな…。


涙がポロリ。
吃驚するパパ。


「パ…パパも死んじゃったり…しないよね…?」

「あああ!!違う!違うよ花!パパ死なないよ!?絶対花を置いて行かないよぉ!!?」