天然お嬢と双子の番犬さん



襖が勢いよく開いた。
そこに立っていたのは留華だった。

留華はズカズカと入って来ると、和の胸倉を掴んだ。右手を振り上げている。


……っ!?


湊がその腕を掴み、私も和と留華の間に入った。留華はかなり力を入れているのか、湊の片手で抑え込むことが出来ないみたいだった。


「やめて!留華!」

「なんで、なんでだ」


ブツブツと言う留華は和の事をきつく睨んでいた。


「俺は…離れなきゃないのに。なんでお前等は…」

「……何の話?それより早く帰ったら?親父に仕事回されたんだろ?」


仕事…それってまた中国に帰るって事?


大きな舌打ちがして、手が離れた。
ワイシャツを整える和は何処も痛くないみたい。



「お嬢…一緒に行く?」



………留華と、一緒に。

私は左右に首を振っていた。


「……なんで…なんでお嬢、教えたよね。そいつ等の本性も…傷付いてただろ?それなのに…なんで、俺じゃなく東雲兄弟を選ぶんだ?…なんで、」


私の身体に触れる前に、パパの声がした。
来るのが遅かったから迎えに来たのだろう。

留華を見たパパは冷たく言い放つ。



「いつまでいるつもりだ、留華。早く片付けねぇといつまで経っても終わらねぇぞ」



パパの背後からアジア系の外国人が姿を現す。真っ直ぐに留華の元へ行き、中国語で話しかけた。


「っっ……お嬢、直ぐ帰ってくるから、だから待ってて」

「…留華……、」


出て行く留華は、



「すぐ俺の物にするから」



誰にも聞こえないぐらいの呟きを残し、五十嵐組を出て行った。