天然お嬢と双子の番犬さん



和の手が震えてる。冷たく感じる手の平が震えている気がする。

和は…何を怖がって──────、


「お嬢!!」


ビクッ!
突然だった。

叫び声で大きく揺れる身体。


「悩む必要なんてないだろ!?」

「やま…とっ、」


掴まれた手首に強い力が入る。

…っ、痛い。


「湊が心配なんだよね?」


それは…、


「湊の指を思いっきり噛んだんだよね?血が出るぐらい」

「っっ…、」


もう口の中になんて無いのに、血の味がした気がした。


「悪いと思ってるなら…僕達と来て」


思わないはずないよ。
なんでそんな事したんだろうって。


「和!やめろ!」

「離せ!」


さっきよりも強い力だった。力が入らないぐらい痛む。


「ねぇ、お嬢?あんな事しておいて、僕達から簡単に離れられると思った?湊が怪我したのはお嬢のせいだよね。お嬢が噛んだから悪いんだよ?僕がこうやって怒るのも全部お嬢が原因なんだよ?それなのに、僕達から離れるって?逃げるって事?僕達はお嬢と向き合ってるのに?」

「……やまと…」

「和!辞めろ!お嬢のせいじゃねぇ!俺が…俺が悪い」

「黙れ!ここまで…やっとここまで来たんだ!簡単に諦められるはずないだろ!?」


二人が何を話して、怒っているのか、私には分からなかった。何を諦めるのか、そんな事も分からない。


「もういいかな?」


和の手を叩き落としたのは留華だった。