天然お嬢と双子の番犬さん



…ふぅ、


止めたはずの蛇口から落ちた水の音が静かな洗面所に響いた。


…パパに後で言われそうだなぁ。泣いたってバレちゃうかも。


タオルで顔を拭きながら鏡の中の自分を見る。泣いたんだと分かる顔にため息が漏れる。


……だめだめ!


ぶんぶんと顔を振り気合を入れた。気持ちは晴れてはいない。

だけど…大丈夫。

深呼吸をした後で廊下に出た。だけど待っていると言っていた留華がいない。


「留華…?」


…ずっと付いてきてたのに。急にいなくなるなんて。

──────寧ろ離れてくれなかった方なのに。


私には聞き慣れた、あの鈍い音がした。


…今の音って。


慌ててその音の方に向かう。
廊下の突き当りを曲がった。


頬を腫らした留華が倒れてる。その胸倉を掴むのは和。湊はそんな和を制御しようとしていた。


………っ、!


いる事に気が付いたのか、和と湊は私の方を向いた。


「お嬢…、」


伸び掛けた手をすり抜けて。


「留華!」


私は倒れる留華の方に向かった。