天然お嬢と双子の番犬さん



和と湊が…女の人と?

ズキン、と胸が音を鳴らす。
一瞬だけ浮かんだその光景が苦しい。


留華は証拠がある、と言うと内ポケットから数枚の写真を取り出した。どれも汚れていて大分前の物に見える。

そこに写っていたのは…、ブロンドヘアーの美女と抱き合う和と綺麗な女の人とキスをしている湊の姿だった。

どの写真も別の女性達で、全員綺麗な女の人だった。


「これを見せたら親父も意見を変えると思ったんだけどなぁ…。寧ろ丁度良いって思わせたかな」


………っ、


和と湊だって男の人だ。凄くかっこいいから彼女が数人いても、可笑しくないことかもしれない。そういうことをしていても……可笑しくない年齢で、間違いなんて何もない。


でも──────、


どうしてこんなに胸が苦しくなるんだろう?



「でも俺はこんな事しないよ」



微笑む留華は今までの優しい王子様だ。


「向こうでも一度もこんな事はしていない。お嬢の事だけ想ってた。俺は心からお嬢を愛している。それに嘘も偽りもない」


髪にキスを落とす。
あの頃の留華みたいで、胸が締め付けられる。


「お嬢…好きだよ。ずっと愛してる。今も昔も…ね」


体内に毒が巡るような感覚がする。




「俺とお嬢にはもう…何も縛るものはない。俺を愛して、俺に愛されて。…一緒に墜ちて行こう」




まるで蛇にじっくりと飲み込まれていくような…そんな感覚が──────。