天然お嬢と双子の番犬さん



笑った。掴んでいた手の力が緩む。痛くない。

さっきまでのは気のせいだったんじゃないかと、思うぐらいいつも通りに変わった。


「俺が居なくなって寂しくてあいつ等で穴埋めした?」


………留華の言っている事が理解できない。

だってそれって留華の代わりを和と湊で補っていたのか、っていう事でしょ?


「私、そんな事一度も思った事なんて無いよ!」


和は和で。湊は湊。
留華と比べたことなんて無い。


「はは、違うだろ?俺の気を引きたくてやったんだろ?」

「っ、留華!」


私の話を全く聞こうとしない留華に苛立ちを覚える。



「どうしてあいつ等がお嬢の番犬に選ばれたと思う?」



そんなの…和と湊が強いからだって、パパが…。



「あいつ等が”猿”だから。お嬢に手を出す心配がないと踏んでの事だよ」



──────猿?
小さく左右に首を振った。



「和と湊は猿じゃなくて、番犬だよ」



パパがそう言ってた。


留華はキョトンとした後で笑った。
アハハ、なんて大きな声で。



「あー…そうだね。うん。合ってる。でも俺が言ったのはそう言う意味じゃない。あいつ等は──────、沢山の女と一夜を過ごしてるって意味。飽きたら捨てて、また違う女とヤる。それの繰り返し」