「俺達番犬は必ず目を通さなければならない、親父が決めた書面の事だよ。……なんて書いてあるか知りたい?」
聞いて良いのか分からない。
けれど考えるよりも、頷いていた。
「お嬢を命に代えても守る事。お嬢の前ではどれだけ大変でも顔に出さない事。──────お嬢を女として見ない事」
…女って。
「私…元々女だよ…?」
留華は笑うと首を振った。
「お嬢に手を出さない事って言ったら分かるかな」
私の唇に留華の指が触れた。なぞる指先が唇を伝い首筋へと移動する。
「留華…?」
「キスも、セックスも。お嬢を愛する事も。全部禁止って事」
そんな事をパパは書面にしてたの?
和も湊も…留華もそれにサインしたってこと…?
「俺はそれを破った。」
破った?留華が?だから…三年も海外に行っていたってこと?
「そ…れは、どうして?」
「………俺はお嬢に手を出そうとした。でも親父に見つかった」
乾いた笑い声と髪を掻き上げる仕草。
「中学生になるお嬢に触れようとした」
「触れるって…手は繋いだことあるよ?」
抱きしめたこともあったし…。
留華フッと笑うと、私の顎を持ち上げた。顔がぐんっと近くなり、お互いの鼻頭がぶつかる。
「馬鹿なお嬢も好きだよ」
唇を重ねた。


