「逃げるなんて…、」
「言ったはずだ。俺に嘘を付くな」
留華が怖い。…こんなの可笑しいよ。だって会いたくて仕方なかった人のはず…なのに。
「そんなにあいつ等がいい?”初恋の相手”よりも?三年の間に俺じゃなく、あいつ等に対して何か感情が出てきた?だとしたら──────、最悪だ」
声は出ない。だけど留華は私の聞きたい事が分かってるみたいに話し始めた。
「知ってるよ。お嬢が俺にどんな感情を持ってたかなんて」
「……どう、して?」
「そんなの、そうなるように……ああ、やっぱ辞める。これ以上は教えない」
人差し指を唇へと当て、笑う留華の目の奥は全く笑っていなかった。
留華に手を引かれ、ベッドに押し付けられた。私の上に跨る留華はまるであの日の、ヤコポと同じようだった。
「俺は向こうで三年もずっとお嬢の事だけ考えた。早く会いたくて、手に入れたくて…あの”念書”を無効にする為にどれだけ苦労したと思ってる?」
…………念書?
なに、それ…?


