「……………お嬢?」
「え?…な、なに?」
どうしよう全然聞いてなかった。
今も頭に浮かんでいるのは、和の悲しく笑った顔と、湊の辛そうな顔…手の怪我だけ。
「東雲弟…いや、兄弟と何かあった?」
「なにも…ないよ」
どうしてこんな嘘つくんだろう。でも言える気がしない。それは別に留華だからとかじゃなくて……。
「ねぇ、お嬢…どうして嘘付くの?」
──────留華が怖い顔をしてるから。
目の奥が笑ってない。
私を見る目に光が無い。
咄嗟の嘘は簡単にバレた。
………そうだった。昔から留華には…嘘は付けないんだった。
何故なら、簡単にバレてしまうから。
「キスだけじゃなかったんだ?」
「そ…そんな事されて無いよ!」
話し逸らさなきゃ。これ以上留華に詰め寄られたら………、
「…っっ!」
「俺の話、聞いてた?」
…………全部見透かされてしまう。
掴まれた頬を持ち上げられ、鼻同士が当たる。
「もしかしてあいつ…いやあいつ等に……、身体触られたとか言わないよね?」
っっ…、
何を言おうとしたかなんて覚えて無い。だって先に口を開いた留華が淡々と話し始めたから。


