「お嬢、俺はこっちだよ」
留華だった。
顔の横に留華の顔がある。
抱きしめられた体が宙に浮く。
「る…か…待って、湊の手当しないと…」
留華の胸の中。
優しい音がする。
ポタッ、
「あ…れ…、?」
自分でも分からない。
だけど何故か涙が出てきた。
「何があったの?お嬢」
そ、れは………、
「この糞狭い廊下で一体何の話してるのかな」
声がして向くと、眉間にしわを寄せる和が立っていた。湊の手を見て目を見開く和。
「湊?それどうし…、」
「お嬢が噛んだんだ」
びくっ、
「…嚙んだ?お嬢が?なんで、」
「お前等の事が嫌いだからに決まってるだろ?」
──────え?
私は留華に向かい首を左右に振った。
違う…私そんなつもりなんて…、
「何されたのか、教えてお嬢」
と、言った留華に私の言葉は詰まった。
口元を抑え、留華から顔を逸らす。
どうしよう、なんて。なんて言ったら…、
上げられた顔、目の鼻の先にある留華の顔──────。
気が付いたら私は…留華とキスしてた。


