天然お嬢と双子の番犬さん



湊の指からずっと流れている血は全部私のせい。それなのに…湊はずっと謝ってる。


「………悪い…、」


……湊、



「───────おい、」



低い声。
湊の声でも和の声でもない。



「俺のお嬢に何してんだ?」



眉間にしわを寄せ、殺気を放つ留華がいた。



「離せ。今すぐに」



…この重圧は、本当に留華なのだろうか。
今まで感じた事の無い、重い空気と殺気。


「………留華、?」


留華は私の言葉に笑顔を向けた。
さっきの圧が嘘みたい。



「お嬢、おいで」

「…っっ、湊」



留華に向かうより先に、湊の方を向き手を取った。歯型がくっきりと残っている指先、傷痕。


「ごめん…私…、痛い思いさせて…」


噛まれるのが痛い事はよく知ってる。
背中がズキズキと痛むのは今も。

……留華に噛まれたから、良く分かる。



「…違う、俺が……」

「湊…手当しないと、」



血で濡れた手がスルリと抜けた。

滑ってしまったわけじゃない。
無理矢理、後ろから引っ張られたから。