天然お嬢と双子の番犬さん

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廊下で一人、小さく溜息を吐いたのは留華だった。



「……俺と居たいって言ったのは、お嬢だろ、」



苛立ち口調の独り言。
頭を掻いてから、振り返った。


どうやら花を探しに行くらしい。


しかし止まる。
視線の先にいたそいつを見つけて。


「にゃお、」

「…あ?」



目の前で顔を洗うサバトラが居たからだ。

留華は目を見開く。リンはそんな留華に威嚇のポーズ。


だが、相手が悪かった。
相手はマフィアのボスだ。



「…おいお前。なんでここにいるんだ?さっきの音、お前じゃないのか?」



威嚇をしたまま留華と距離を取るリン。
そんな留華に大きく舌打ちをした。

それに驚いたリンは留華を通り過ぎ、戸をガリガリし始めた。


まるで開けてくれと、言っているようだ。




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