手の紐が解かれた。
だけど、目を覆うのはそのまま。
「湊…外していい?」
「俺が良いって言うまで駄目だ」
……っ、そう言うなら。
手探りで湊の顔を探す。
唇に指が当たり、頬へと移動する。
「…本当に湊?」
「あ?」
いや…だって見えないから。
サラッ、
耳に掛かる髪。
近付く吐息。
「あいつ等に何処触られた?」
あいつ等…、春比古くんと丞くんの事?
「手…とか」
「そこだけじゃねぇだろ」
他は…えっと。
何処だったかな。
無意識だったから。
あまり覚えて……。
ハァ、大きな溜息がした。
その音に私は大きく跳ねる。
「右京組の倅に何されてた」
春比古くんに……?
”久々に会えたんや。もう少し一緒に居てくれてもええやろ?”
そう聞こえたのは、彼の胸の中だった。
「抱きしめられた…」
春比古くんだけじゃない、丞くんにも。


