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ネクタイで目隠しをされ、後ろ手に結ばれているのは可愛いお嬢様。

嫌だと何度も叫び、


「湊っ!」


自分の名を発する愛らしい姿に思わず口元が緩む。

気配を消し、花の足を触っているのも、怯えながら湊を求めているのも全て──────、


湊本人だというのに。


手が動く度に花は何度も身体を強張らせ、助けを求める。
ビクリと身体を震わせて唇を噛み締める姿が…、

可愛らしく愛おしい。


「ひっ!」


少しだけの意地悪で湊は更に上へと手を動かした。

震える身体と必死に抵抗する、小さな力。


「………可愛すぎだろ、」


思わず漏れた言葉にハッとして口を塞ぐ。
しかし花には聞こえていなかったようだ。


「──────お嬢、」


びくっ、

湊の言葉に少しだけホッとしたように名前を呼んだ。


「湊…?…いるの…?」

「ああ。ここにいる」

「っ…たすけ…て…湊…」


湊は小声で「やり過ぎたか」と言うと手を離し、花を抱き寄せた。



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