「っ、湊。どうしたの?私…また変な事した…?」

「俺等のこと…ずっとそう思ってたのかよ」


……え?


「俺と和の事そう思ってたのか?ずっと?」

「えっと…、」



二人と出会ったのは私がまだ小学生の頃だった。
パパがボロボロの二人を連れてきたんだ。

「花、今日から五十嵐組の仲間になる和と湊だ。挨拶をしなさい」

服も髪も汚れて虚ろな表情だったのを今でも覚えてる。まるで……誰も信用できない、そう言っているような目だった。


「初めまして!私、五十嵐花って言うの。これからよろしくねっ!」

「……初めまして。花お嬢さん」

「……ああ」


私の手を握り返してくれた二人の瞳が、少し光を帯びた気がした。



「…いつも傍に居てくれる大事な人だって思ってるよ」



あの時からずっと──────、


「……大事な人?それは不知火よりもか?」


え?留華?


「…な、わけねぇか。お嬢はいつもそうだもんな。全員が大事な人、って思ってる」


そんなの…当たり前だよ。
だって大事な人達だもん。


ちゅっ。


突然のおでこにキス。
驚きで目をぱちくり。


「湊…?」


そのまま流れに乗って、目尻、頬とキスを落とす。


「俺より…不知火の方がいいって思ってんのか?」

「え?なに…、」


ッ──────!?


急に真っ暗になった視界。手じゃない、細い紐…ネクタイのような物で縛られているような感覚。


「湊…!なにす…!」


………あれ。
手首が…動かない?

背中に回された両手首。紐のような物で縛れらている。動揺している私の前の気配が消えた。