瞬時に下を向いた湊。
なにやら黒いオーラ。
「……お嬢が言ったのか?」
えっと…?
記憶ボックス散策中。
”お兄ちゃん、みたいな感じかな、”
言ってたみたい。
確かにずっと昔から一緒だったし、優しいし一緒にいて安心出来るって思ったから。
「へぇ、そうなんや」
そう言ったのは春比古くん。
ニヤリと笑っていた。
「兄ちゃんか。せやったら…邪魔するんはお門違いなんちゃいますか」
「…喧嘩売ってんのか」
ピキピキ。
「湊、また怖い顔してるよ!抑えて!」
「…るせぇ」
「みなと!」
「……チッ」
そっぽを向いた。苛立っているのは目視で分かる。
そろそろ部屋に戻らないと。湊が本気で怒ったら大変だから。
「じゃあまたね!」
湊の背中をぐいぐい押しながら、部屋に向かう。
「”わんちゃん”の相手は大変だね」
小さく言った丞くんが笑った。
わんちゃん??昔飼った事はあったけど、今はリンしか飼ってないよ?
その内、遠くから二人の名前を呼ぶ声がした。どうやら集会に二人が呼ばれたらしい。春比古くんと丞くんがほぼ同時に溜息を吐いて。
「また後で、花。必ず会いに来るから。待ってるんだ。いいね」
「ほな、また。すぐ戻ってくる。首を長して待っとき」
そう言って二人は声のした方へ向かった。
…何か用事あったっけ?


