天然お嬢と双子の番犬さん




鋭い目が私に刺さる。
もしかして本気なのだろうか。


「この指が無くなれば、花は一生指輪付けられないな?」


徐々に嚙む力が強くなっていくのを感じた。
怖くなって丞くんの名前を言おうとした時だった。


「ええ加減にせえよ」


私の後ろにいる春比古くんが、手首を引っ張ってくれた。薄く指に残る歯型。


「花、痛ないか?」

「えっ、と…うん。大丈夫」


ホッとする春比古くんに引かれ、胸の中に収まる。抱っこしているリンは嫌な顔をしているけど。


「勝手に触れるな」

「ハッ…そらおもろいな。俺が言いたい台詞まんまじゃあらへんか」


見えない…けど。
お互い喧嘩腰だよね?


視界は真っ暗…春比古くんに抱きしめられてるからだけど。

リンは尻尾ぱたぱた振ってる。
多分凄くイライラ中…。


「私!もう部屋に戻るから!!離してっ!」


片手で押し返しつつ、二人に聞こえるように大きな声で言った。

だけど。


「ッ!?」


春比古くんに思いっきり抱き寄せられた。驚いたリンが私の腕からすり抜け、逃げていく。


「久々に会えたんや。もう少し一緒に居てくれてもええやろ?」

「ごめんね。和と約束してるから部屋に戻るね」

「そんなん、バレへんかったらええで」


そうなのかもしれない…でも。


「私が嫌なの。だからもう離して」


ずっと心残りになる事はしたくない。


「そら、あかんなぁ」


力が強い。
押し返せない。



「俺の事無視して話進めんな…不愉快だ」



丞くんに手を握られ、体が横を向いた。そんな状態でも春比古くんは私を離さなかった。

私の頭の上に重み。春比古くんの頭が乗っているんだと思う。


「まだいたんか?俺と花の間には入れへんで」

「入れない?馬鹿か?入れないんじゃなく、作るんだよ」

「そないな隙、作るわけあらへんやろ。俺が」