天然お嬢と双子の番犬さん



……むっ。

懐いてるリンにモヤッとして、リンを抱えた。
そのまま立ち上がり、丞くんから顔を逸らす。


「…花?」

「私部屋に戻るからっ」


すぐ戻るって決めてるの!
勿論リンを連れてね。


「俺も行っていい?」


部屋にって事かな?



「私の部屋殺風景で特に惹かれる物なんて無いよ」

「構わない。花の傍に居たいだけだからな」



でも…和に”誰も入れない事”って言われてるしなぁ。



「ごめんね。和に怒られちゃうから」


「ああ、あのお兄ちゃん達?…それは残念だ。それなら部屋まで送らせてよ」



それぐらいなら良い、かな?
頷くと丞くんも立ちあがった。

私の左側に来て、右手を腰に回された。


…おお、紳士だ!


チラリと彼を見ると、彼は何も言わず私の歩幅に合わせて歩き出した。


ここから部屋に戻るまでそう長くはない。
リンの行動範囲内だからね。

中間って感じ。

部屋に戻ったら、昨日集中出来なかった亡霊シリーズを見ないと。それからリンと少し遊んで、ちょっとだけ勉強して、ゴロゴロして…後は録画のお笑い番組を見よう。

やる事沢山でのんびり楽しめそう!


「随分楽しそうだな」

「うん!今日はのんびり映画見て、リンと遊んでゴロゴロしてー…楽しい事沢山だよ!」

「楽しい一日になりそうだな。ただ…そこに俺がいないのが気に食わない」


腰に回された丞くんの手に力が入り、ぐんっと近付いた。リンを抱えていて押し返せない。

頬に触れる手は顎の方に行き、顔をクイッと上げられた。丞くんと目が合い、黒い瞳には私の驚く顔が見え、それが近付いてくる。


──────が、触れない。


誰かに背後から抱き着かれた。