和と湊を見送ってから部屋に入り違和感に気付く。
「…リン?」
部屋に居ない。
いつもなら居るはずなのに…。
もしかしていつもの縁側に居るのかな?
日向ぼっこには持ってこいの所だから。
どうしよう?部屋から出るなって言われたけど…。
少しだけ襖を開けて廊下を見渡す。誰の声もせず静かだ。こんなに静かなのは久しぶりだ。
……リンを連れ戻したらすぐ戻ってくれば、大丈夫かな。
だって今から沢山の人が来る。リンが引っ掻いたりしたら…どうしよう!?
急いで部屋を出た。
勿論直ぐに戻るつもりで。
……あれ?ここじゃないの?
ここなら絶対に居ると思った。見当たらなかったら必ずいる所だったから。
どうしよう…もしかして脱走しちゃったの?
しようと思えば出来る。
でも今までしなかったのに。
…私の事嫌いになったのかな?
泣きそうになっていた時、リンの鳴き声がした。
「…リン?何処に居るの?」
こっちの方から、聞こえてくる。
縁側じゃなくて庭の方だ。
ここからそう遠くない。
急いでサンダルを履き庭に向かう。
カコン、ししおどしの音。
誰かがリンの頭を撫でている。砂利を踏む音に気付いたその人が、立ち上がりゆっくりと振り返った。


