天然お嬢と双子の番犬さん




──────学校到着。
職員室へ向かう二人に手を振って、私は教室に行く。


「あっ、花!遅いわよ!もお!」

「鞠おはよ~~!」


教室のドアを開けて、最初に話しかけてくるのは茶髪の女の子。ルーズに着こなした制服と胸元に光るハートのネックレス。


友達の桃園 鞠(モモゾノ マリ)ちゃん。
抱き着いて来た鞠は今日も通常運転。


「早めに来たのに花がいなかったら意味ないじゃない!」



…あれ?


鞠の顔をジッと見る。


うん、やっぱり!



「アイシャドウ変えたの?凄く可愛いね!」

「バイト代入ったから新しいの買ったの~!流石花だわ~~!」



いつもよりキラキラ増し増しの薄ピンク色のアイシャドウ。鞠に似合う色合いで綺麗!

自分の席は窓際の後ろから二番目。スクールバッグの中身を出しながら鞠とおしゃべり。


「今日、転校生来るみたいよ!二人!」


和と湊かな?


「しかも超絶イケメンって噂」


和と湊の事だね!二人共かっこいいからね!皆にも分かってくれるのは嬉しい!

自分の事のように嬉しくて、ニヤニヤ。


「まあ、でも花に惚れるのは間違いないわね」

「惚れる?」


あの二人が?
惚れ…?んー?



「無いと思う」



だって、惚れられるような要素ゼロだから。私。

それに…私にとって五十嵐組の皆は家族みたいな感じだし。それが崩れるのはちょっと怖いかなぁ。


「あのねぇ…花は無自覚過ぎなの!化粧してないのにその顔面はズルい!」

「ん?化粧水はバチャバチャ付けてる!」

「そう言う事じゃないのよ。おばか」


あいた…。

軽くチョップを受けた。