ッ──…、
留華の気が済んだのか離れた。
背中全体がズキンズキンと痛む。
どれぐらい噛まれたのか、もう分からない。ただただ痛い。
「……お嬢、」
「…やまと…みなと…」
無意識だった。完全に。
覆い被さる留華にビクッとした。それは突然だったからだけじゃなくて、黒い威圧感のようなものを感じていたから。
「ここに居るのは俺だろう?どうしていない奴の名前を出すんだ?
お嬢が大好きな不知火留華、だろ?
俺と同じ名前だって喜んでただろ?
俺を呼べよ…なぁ、そんなにあの兄弟がいい?俺より?」
柔らかな口調だった。
いつもの留華と何ら変わりない。
…じゃあ今感じる恐怖は何?
コンッ、
小さなノック音だった。


