三年前、日本人が中国で小さなマフィアを作った。突然出てきた小さなソレに、誰もが鼻で笑った。直ぐに潰れるとも予想した。
しかしどうだろう。たった三年の内に本土全体をまとめるマフィアへと変貌した。
そしてもう一つ。ヤコポは驚いていた。
屈強な男と噂されていた奴が、本当は男でも見惚れてしまうほどの外見をしていたからだ。
『五十嵐組からお前達の身柄を引き取ったのは俺だ』
『な、なんで…』
その台詞は恐らく”何故そんなマフィアが五十嵐組と繋がっているのか”だろう。
『俺達イーランは五十嵐組と同盟を組んでいるんだ。知ってるのはごく一部の人間だけだが…』
『…なんで、それを僕に言ったんだ…?』
男は笑い、灰を落とす。
『悪いね。ごく一部は誤りがあった。知っているのは、親父達と傘下の頭。
これから”誰にも会わなくなる人間”だったよ』
『……ど、どういう…』
『なぁ、知ってるか?』
満面の笑みで男は顎をしゃくった。