千夏はママの名前。酒井先生はママと幼馴染だったって聞いてる。

酒井先生が優しく頭を撫でてくれた。




「誰にでも優しかったですよ。あなたのお母様は…そして誰よりも慈父深かった。

だからこそ、ここにはそういう人達が集まるのでしょうね。花ちゃんも優しく、そして素直でいい子です。そういう所もよく似ている──。


…まあ、正義感強い所は竜二似ですし。睨み方とか変に突っ走る所とか、笑い方とかは似てますけど」



「なんだそのとってつけた言い方は!」




酒井先生は笑って襖を開けた。



「竜二、領収書は後程出しますね。それから車の手配は済んでます?」


「ああ。山本が今回のお前の送迎係だ」



廊下にいたソフトモヒカンの山本くんが頭を下げた。



「…所で花ちゃん」


「は、はい!」


「痛みは二箇所だけですか」


「えっと…はい!」



スタンガンを当てられた所だけかな。




「…そうですか。

もし気になる所(・・・・・)があればすぐに連絡くださいね。では、お大事に」




手を振ると微笑み軽く手を振り返してくれた。